Re: 1-15 手を引いてくれる者

> どうするんだ、進路。
> ここ数日、
> よく聞かれた。
>
> どうもしねぇよ。
>
> 安パイ狙って、
> 俺は大学に行く。
>
> ただそれだけ。
>
> いいんだよ。
>
> 俺は本当はピアニストになりたかった。
> 幼稚園の時にピアノと出会ってからというもの、
> 毎日弾き続けた。
>
> 賞もとった。
>
> でも、家は新品のピアノ買える程余裕なんてなかった。
>
> 自分のやりたいことよりも、
> 家庭の経済に気ぃ使ってなにがわるいんだよ。
>
> 音大は、
> 遠い。
>
> 地元で十分。
>
> 趣味で弾ければ充分。
>
> なのに、
> なんでこんなに悔しいんだろう。
>
> 不思議だ。
>
> 俺は、
> 夢を諦めきれないでいる。
>
> もしかしたら、
> 俺でもプロになれるんじゃないかと夢さえ見ちまうんだ。
>
> どうしろってんだよ。
>
>
> そんな時に幼馴染の路子が
> 音大のある市に私も進学すると言ってきた。
>
> 良かったらシェアしないと?
>
> あの泣き虫路子が。
> いつも俺の後ろばっかついてきてたのに、
> いつの間にか俺の先、
> 進んでやがった。
>
> 奨学金のパンフレットも、
> バイトの情報誌も、
> いっぱい持って来やがった。
>
> 「私ね、悟のピアノ好きなの。」と
> 笑う路子。
>
> 俺だって、
> 自分のピアノが好きだよ。
>
>
> 「一緒に行こう?」
>
> 路子が手をひいてくれたから、
> 今の俺がある。
>
> 俺は、
> あの時路子に背中を押してもらなかったら、
> 夢を叶えることなんてできなかった。
>
> 心から感謝してる。
>
> ありがとう、
> 路子。

Re: 1−16 エールされる側

> 早く受験終わらないかなって思う。
> 家でも学校でも勉強ばっかり。
>
> はぁ。
>
> 夜も遅くまで起きて勉強してると、
> お母さんが「お疲れさま。」と
> 「頑張ってて偉いわね。」と、
> 夜食をもってきてくれる。
>
> 本当は夜食食べたくて夜勉強してた。
>
> 塾が終わると、
> 外にお父さんの迎えの車。
> 「お疲れ。」
> 「ほら。」とコンビニの肉まん。
>
> 本当は塾なんて退屈だけど、この時間が好きだった。
>
> 志望校は、
> 私の目的ではない。
>
> 親の目的なのだ。
>
> 私はただ言われた通りにしてる。
> そうすると、
> 褒められる。
> 悪い事がない。
>
> でも最近、
> 食べ過ぎた。
>
> 勉強しかしてないから、
> 食べる事しか楽しみがないからって、
> 食べ過ぎた。
>
> 脂肪が凄い。
> ぶくぶくに太って、
> 満足に起きていられない。
>
> どうしよう、
> 困った。
>
>
> 皆私のためだっていうけど、
> 頑張ってって言われるけど、
> 私は私なりに一生懸命頑張ってるんだけどな。
>
> どう頑張ればいいんだろうって思う。
>
> あぁ、
> なのに、
> 今日の夜食も美味しくて、
> 困っちゃう。
>
> とりあえず、
> 大学に進んでから
> 私のやりたいこと見つかればいいのになぁ。
> なんてぼんやり考える。
>
> 私は今日も頑張ってるから、
> どうか、
> 応援は程々に。

Re: 目指せ、ヒロイン道。♯1

> 彼女は携帯片手に帰路につく。
> 何やら物憂げな表情である。
>
> 「やっぱ、自分まだまだですね笑」
>
> ー今回の舞台、駄目だったんですか?
>
> 「はい、全滅っした笑
> 4個オーディション受けて、
> 一個もかすらない笑」
>
> ー全滅は今回が初めて?
>
> 「いやぁ〜、もう全滅するときって続くんですよね、
> 悲しいことに。
> 慣れましたっていうか、
> 慣れないとやっていけない。
> 常に次探して、
> 前見て進むしかないですよ、
> ほんと。」
>
> ーいつからヒロイン目指してるんですか?
>
> 「うーん、いつからだろう。
> もう物心ついたころからですかね笑
>  親が演技関係の仕事してるとか、
> それこそ親のかなわなかった夢を
> 子供にっていうことでもなく、
>  なんていうか、
> エンターテインメントって
> 常に身近にあるじゃないですか。」
>
>
> 彼女は今日も走る。
> 明日の自分が夢を叶えているかもしれないということを、
> 夢見ながら。

Re: 思い出の場所でした。

> 「ここがあの幸楽?
> すっかり廃ビルじゃない?
> こんな糞暑いのに
> クーラーもないのね。」
>
> 真っ赤なハイヒールをはいたタイトスカートの彼女は、
> サングラスをずらしながら、
> 目を細めた。
>
> 「まぁまぁ。」
>
> 薄ピンクの着物を着た物腰柔らかそうな女性が後に続く。
>
> 「ほこりっぽくって、たまんない。」
>
> 「お姉ちゃん。」
>
> 2人はここでキャバレーをしていた。
> オーナーが死んだので、
> 久しぶりにここを訪れたのだった。
>
> 「にしても、
>  幸楽が潰れてもう15年か。」
>
> 「早いよね。」
>
> 「本当に、幸楽なんてあったのかなって思うわよ。」
>
> 「私も夢みたいだよ。
>  あんな毎晩光り輝いてたのが、
>  夢みたい。」
>
> 「オーナー、ずっと闘病してたんだってね。」
>
> 「そうみたいね。」
>
> 「あんたずっとこっちいたんでしょ?
>  なのに、なんで見舞いにすらいってないのよ。」
>
> 「行こうとしたわ。
>  でも、来るなっていわれたのよ。」
>
> 「はぁ?」
>
> 「オーナー、まさか自分が病気になるなんて思わなかったみたいでさ、
>  受け入れられなかったのよ、病気のこと。」
>
> 「あぁ。
>  本当、小さい。
>  100歳まで生きるって嬉々としてたもんね。」
>
> 「うん。」
>
> 「それが、69って聞いてあきれる。
>  還暦に毛が生えたもんじゃないの。」
>
> 「オーナー、不摂生に不規則だったからね。
>  仕方ないわよ。
>  つけって回るのね、どんなことでも。」
>
> 「本当、しょうもない生き様。
>  借金で幸楽は潰すわ、
>  病気で自分は潰すわ。
>  せいせいする。」
>
> 「そんなこといって、
>  お姉ちゃん、まだオーナーの事好きだったんじゃないの?」
>
> 「な。何で私が?」
>
> 「葬式の時、泣いてたでしょ。」
>
> 「見てたのね。ふん。」
>
> 「見えたのよ、あんまり静かだったから。」
>
>
> 親に捨てられた私たちは、
> 夜の公園でオーナーと出会って、
> 拾ってもらった。
>
> 寝る場所も食べるものも着るものも、
> 働く場所も、
> 全部与えて貰っていた。
>
> 感謝しない訳がない。
>
> 未成年で年をごまかしてキャバレーで踊っていたけど、
> 居場所のない日々を想えば、
> きらきら輝く楽しい思い出だったのだ。
>
> まぁ、まともな仕事には私たちの性格からは
> どうしても苦手でつけなかったけど。
>
> 「私、忘れられない。」
>
> 「きっと、私も同じ。」
>
> 「幸楽が潰れる最後の日。」
>
> 皆が寂しがったあの日。
> ただお店が一件潰れるだけなのに、
> この世の終わりかと思うくらい、
> 店内は賑わっていた。
>
> 最後の曲が終わった時に、
> お客さんが札束を空に投げて、
> 紙幣がひらひらと照明を浴びて舞った。
>
> これ見よがしに他のお客さんも、
> 硬貨を上に投げたりして、
> アンコール!との声も響いた。
>
> 泣いても泣き切れない、
> 青春だった。
>
> 「本当に、終わったのね。」
>
> 「あの日で終わったって思ったけど、
>  心のどこかでまだ戻れるって思ってた。」
>
> 「でももう、無理ね。
>  あの人が居ないんじゃ。」
>
> 「寂しいね。」
>
> 「悔しいわよ。」
>
> 大切なものはずっと手にしていられない。
> 酷く空虚だ。
>
> 姉はまだ幸楽の店名がはいったライターを使っていた。
> 「私も吸おうかな?」
>
> 姉からタバコを貰う。
>
> 酒とたばこと少し淀んだ空気が、
> ここは当たり前なのだ。
>
> 真昼間の廃ビルなんて、
> 来るもんじゃないね、
> お姉ちゃんと、
> たばこにむせながら、
> 涙が流れた。

Re: 手を繋ごう

> 彼は何も言わなかった。
> ただ黙って私の手を繋いでいた。
> ただそれだけだった。
>
> 「うっうっ。」
>
> 泣きじゃくる私に
> 彼は何も聞かなかった。
>
> ただ手を繋いでいた。
> 涙を拭こうにも、
> 両手繋がれていたのでは
> 拭えない。
>
> 手を振り払おうとしたけど、
> 暖かく力強い手にぎゅっと握られていたので、
> 手を離せなかったのだ。
>
> 「悲しみを味わうんだ。」
>
> 彼は優しく言う。
>
> 悲しみなんて知りたくないと幼い私は心の中で叫ぶ。
> 楽しいことしかいらないと、
> 私はまた涙を流すのだった。
>
> 「全部、大切な感情なんだよ。」
>
> 「笑顔も悲しみも、怒りだって。」
>
> 「いらないものなんて、ないよ。」
>
> あぁ、どうしてこの人はこんなにも穏やかなのだろう。
> 涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃの私のことを、
> なんて暖かい目で見てくるのだろう。
>
> 自分が恥ずかしい。
>
> あぁ、
> 嗚咽が収まって、
> 暖かい涙が一筋流れた。
>
> 感情と向き合えば、
> 穏やかになれるのかな?
>
> 怖い怖い。
> マイナスの感情と向き合うのは、
> 怖い。
>
> 「僕も昔はよく泣いたよ。」
>
> 「そういえば短気だったなぁ。」
>
> 「今だって怒るし泣くよ?」
>
> ずっと笑顔でいたいなんて思うことの方が、
> 不自然だったのかもしれない。
>
> 「はい、もう、大丈夫。」
>
> 彼につられて、
> 私も微笑んだ。
>
> 嬉しい時も、
> 悲しい時も、
> むかついた時だって、
>
> 私を受け入れてくれる彼がいるなら、
> もう大丈夫。
>
> さぁ、どんな時でも手を繋ごう?

Fw: 手を繋ごう

--- amaamahinako@yahoo.co.jp wrote:
> 彼は何も言わなかった。
> ただ黙って私の手を繋いでいた。
> ただそれだけだった。
>
> 「うっうっ。」
>
> 泣きじゃくる私に
> 彼は何も聞かなかった。
>
> ただ手を繋いでいた。
> 涙を拭こうにも、
> 両手繋がれていたのでは
> 拭えない。
>
> 手を振り払おうとしたけど、
> 暖かく力強い手にぎゅっと握られていたので、
> 手を離せなかったのだ。
>
> 「悲しみを味わうんだ。」
>
> 彼は優しく言う。
>
> 悲しみなんて知りたくないと幼い私は心の中で叫ぶ。
> 楽しいことしかいらないと、
> 私はまた涙を流すのだった。
>
> 「全部、大切な感情なんだよ。」
>
> 「笑顔も悲しみも、怒りだって。」
>
> 「いらないものなんて、ないよ。」
>
> あぁ、どうしてこの人はこんなにも穏やかなのだろう。
> 涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃの私のことを、
> なんて暖かい目で見てくるのだろう。
>
> 自分が恥ずかしい。
>
> あぁ、
> 嗚咽が収まって、
> 暖かい涙が一筋流れた。
>
> 感情と向き合えば、
> 穏やかになれるのかな?
>
> 怖い怖い。
> マイナスの感情と向き合うのは、
> 怖い。
>
> 「僕も昔はよく泣いたよ。」
>
> 「そういえば短気だったなぁ。」
>
> 「今だって怒るし泣くよ?」
>
> ずっと笑顔でいたいなんて思うことの方が、
> 不自然だったのかもしれない。
>
> 「はい、もう、大丈夫。」
>
> 彼につられて、
> 私も微笑んだ。
>
> 嬉しい時も、
> 悲しい時も、
> むかついた時だって、
>
> 私を受け入れてくれる彼がいるなら、
> もう大丈夫。
>
> さぁ、どんな時でも手を繋ごう?

トカゲの夢、忘れもしない去年の12月。通販を逃し、店頭も売切でもう絶対手に入らないと思った(>_<)再販ありがとうございます( Ü )!

今回はクリファ、すみっコぐらしだ!ありがとうございます(˶・ᴗ・˶)

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